Google広告 コンバージョンの「含める」「含めない」の違い|スマート入札への影響と設定判断フロー
Google広告のコンバージョンアクション「含める(メイン)」「含めない(サブ)」の違いと、スマート入札の学習に与える影響を解説。売上直結度×月間CV数で判断できる設定フロー、GA4インポートやカスタム目標で入札対象がズレる落とし穴、変更後7〜14日の検証手順まで実務視点で体系化します。
この記事のポイント
- Google広告の「含める/含めない」は表示設定ではなく、スマート自動入札に何を学習させるかのシグナル設計である
- 判断軸は売上直結度×月間CV数の2軸で、迷ったらこの順番でチェックするのが定石と言える
- GA4キーイベントのインポートとカスタム目標には入札対象がズレる隠れ仕様があり、事前確認が必須
- 設定変更後7〜14日は学習再始動期間として扱い、評価も変更の重ね掛けも保留するのが安全
Google広告のコンバージョンアクション設定画面には「コンバージョンに含める」という項目があります。かつてはこの名称そのままでしたが、現在の管理画面では「メインのコンバージョンアクション」「サブのコンバージョンアクション」という呼び方に変わりました。名称は変わっても、意味しているのは同じ話です。含める=メイン、含めない=サブという対応関係になります。
問題は、この設定を単なる「集計するかどうか」のオン/オフだと理解している運用担当者が少なくないことです。実際にはメインに指定したコンバージョンアクションだけが、スマート自動入札の学習対象になります。目標コンバージョン単価(tCPA)や目標ROASといった入札戦略は、このメイン設定で定義されたコンバージョンだけを見て「どのユーザーに入札を強めるか」を学習しています。含める/含めないの選択を誤ると、入札戦略そのものは正しくても、学習させているデータが的外れという事態が起こり得ます。
本記事では、この設定を「学習データ設計」という観点から捉え直し、売上直結度と月間コンバージョン数という2つの軸で迷わず判断できるフローを提示します。あわせて、GA4キーイベントのインポートやカスタム目標がからむ隠れ仕様、設定変更後の検証手順までを一気通貫で扱います。複数のコンバージョンアクションを抱えながら、今の設定が正しいのか確信が持てないという方に向けた内容です。

「含める」「含めない」とは何か|メイン/サブ設定の基本と名称の変遷
メインとサブ、二つの道の分岐点
Google広告のコンバージョンアクションには、それぞれ「メイン」または「サブ」という区分が割り当てられています。メインに設定されたアクションは「コンバージョン」列に集計され、レポート上の主要指標として扱われると同時に、スマート自動入札の最適化対象になります。一方サブに設定されたアクションは、「コンバージョン」列には出てきません。
「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列の違い
管理画面には「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列という、似た名前の2つの列が存在します。前者はメインのコンバージョンアクションのみを合算した数値で、入札戦略が実際に学習・最適化に使う数字です。後者はメインとサブの両方を合算した数値で、あくまで観測・分析用の指標という位置づけになります。この2列を混同すると、「コンバージョンが増えているのに成果が伸びない」といった認識のズレが生まれやすくなります。数値がどちらの列由来なのかを都度確認する癖をつけておくと安全です。列の集計ロジックをさらに細かく理解したい場合は、コンバージョン列の「モデル値を含む」の正しい読み方も合わせて確認しておくと、モデル化された数値との区別も含めて整理できます。
旧名称「コンバージョン列に含める」との対応関係
以前の管理画面では、コンバージョンアクションの詳細設定に「コンバージョンに含める」というチェック項目がありました。これがオンの状態が現在の「メイン」、オフの状態が「サブ」に相当します。呼び方が変わっただけで挙動そのものは連続しているため、古い解説記事やヘルプの引用を目にしても、読み替えて理解すれば問題ありません。
スマート入札は「コンバージョン」列だけを学習している
ここが本記事で最も強調したい点です。入札戦略の選択(目標CPA・目標ROASなど)をどれだけ精密に設計しても、学習の元データであるメインのコンバージョンアクションが不適切であれば、狙った成果には近づけません。むしろメイン設定は、入札戦略そのものより重い意思決定だと捉えるべきです。
スマート入札がメインCVから学習しているシグナルの中身
スマート自動入札は、メインに設定されたコンバージョンが発生したユーザーの検索クエリ、デバイス、時間帯、オーディエンス属性などを横断的に学習し、類似の特徴を持つユーザーへの入札を強めていく仕組みです。つまりメイン設定は「どんなユーザー像を増やしたいか」を定義する行為に等しく、単なる集計対象の選定作業ではありません。
低意図CVを混ぜると起きる「シグナル汚染」のメカニズム
Search Engine Journalの記事では、スマート入札の不調の多くは入札戦略そのものではなく、コンバージョン設計の汚染に原因があると指摘されています。資料請求のような低意図のアクションと、商談化・購入のような高意図のアクションを同じメインに混ぜると、学習データは「engagement」という曖昧な複合値に向かい、実際に買う人と単に眺めている人のパターンの対比が失われるという整理です。日本の管理画面でも構造はまったく同じで、複数のCVをメインに雑居させているアカウントほど、この汚染の影響を受けやすいと考えられます。加えてSpider AFの解説記事では、ボットによるフォーム送信やページ到達がスマート入札から人間の行動と区別されず、無効クリック除外後もコンバージョン自体は残って学習を汚すケースがあるという論点も紹介されています。含める対象を増やすほど、この種の汚染面も広がる点は意識しておきたいところです。
「含める/含めない」設定判断フロー
図1: 売上直結度×CV数で判断するフローチャート
判断に迷ったときは、次の3ステップで機械的に検討するとぶれません。
STEP1:そのCVは売上・商談に直結するか
購入完了、商談化、有効な問い合わせのように、事業成果に直結するアクションは基本的にメイン候補です。資料請求だけで完結し、その後の接点が薄いアクションや、カート追加・お気に入り登録のような中間行動はサブ寄りに倒すのが定石と言えます。
STEP2:メインだけで月間CV数は学習に足りるか
売上直結度が高いアクションでも、月間コンバージョン数が極端に少ないと学習が安定しません。目安として月間30件前後を下回る場合は、学習の収束に時間がかかりやすいと一般に言われています。この場合は次のSTEP3の検討に進みます。
STEP3:足りない場合の選択肢|マイクロCV追加かカスタム目標か
選択肢は大きく2つです。1つは、成約に近い中間行動(例:料金ページ到達、カート追加)を期間限定でメインに追加し、学習ボリュームを補う方法。もう1つはキャンペーン単位のカスタム目標を使い、特定のキャンペーンだけ別のCV構成で最適化する方法です。マイクロコンバージョンをどう選定し、どう「コンバージョン列に含める」設定へ落とし込むかについては、マイクロCVの選定基準と「コンバージョン列に含める」実装手順で具体的な手順を扱っています。
| 判定 | 売上直結度 | 月間CV数 | 推奨設定 |
|---|---|---|---|
| A | 高い | 十分 | メインのみで運用 |
| B | 高い | 不足 | メイン+マイクロCVを期間限定追加 |
| C | 低い | ― | サブに設定し観測層として活用 |
ケース別の設定例|BtoBリード・EC・電話CV
判断フローを実際の業種でどう適用するか、代表的な3類型で見ていきます。
BtoB:問い合わせと資料DLをどう分けるか
商談化率の高い「問い合わせ」はメイン、資料ダウンロードのように商談化率にばらつきが大きいアクションはサブに置くケースが実務では多いと言われています。ただし問い合わせ数が月間一桁台にとどまるアカウントでは、資料DLを一時的にメインへ加えて学習ボリュームを確保する判断もあり得ます。
EC:購入とカート追加・お気に入り登録の扱い
購入は迷わずメインです。カート追加やお気に入り登録は、購入に至る中間行動として有用な一方、単独でメインに入れると「カートに入れるだけの人」への最適化が進んでしまうリスクがあります。新規サイトで購入数がまだ少ない立ち上げ期に限り、期間を区切ってカート追加を併用するのが現実的な落としどころです。
電話CV:問い合わせ電話と営業電話の混在問題
電話CVは、着信のすべてを一括りにメインへ入れると、営業目的の電話やクレーム対応の着信まで「良いコンバージョン」として学習されてしまう恐れがあります。通話時間や通話内容による絞り込みが可能な計測設計とセットで検討する必要があり、その実装方法は電話・チャット問い合わせを広告CVに組み込む計測設計で詳しく扱っています。
見落としやすい3つの落とし穴
見えない落とし穴が潜む設定の道のり
設定したつもりと、実際にスマート入札が学習している対象がズレるパターンは、公式ヘルプだけを読んでいると気づきにくいものです。
GA4からインポートしたキーイベントはサブで着地する
GA4のキーイベントをGoogle広告にインポートした場合、初期状態ではサブとして着地する仕様になっています。Search Engine Journalでも同様の隠れ仕様が指摘されており、インポート後に手動でメインへ昇格させる作業を忘れると、意図しないコンバージョン構成のまま入札が最適化され続けます。インポート自体がうまくいかない、反映されないという場合はGA4キーイベントがGoogle広告にインポートできない・反映されない時の切り分けで接続面のトラブルシューティングを確認してください。
カスタム目標に入れるとサブでも入札対象に昇格する
サブに設定したコンバージョンアクションであっても、キャンペーン単位のカスタム目標に組み込むと、そのキャンペーンでは入札対象として扱われます。アカウント全体ではサブのつもりが、特定のキャンペーンだけ実質メイン扱いになっているというねじれが起きやすく、定期的な棚卸しが欠かせません。なおEasyInsightsの解説では、サブ設定は単なる観測用ではなく「ウォームリード発掘のシグナル層」として積極的に活用できるという見方も示されています。含めない=捨てるではなく、含めないからこそ自由に増やして診断に使えるという発想は、日本のアカウント運用でも取り入れやすい視点です。
メイン⇔サブの変更で学習期間が再始動する
メインとサブの切り替えは、入札に使うコンバージョン定義そのものの変更にあたるため、スマート自動入札の学習期間が再始動します。変更直後に成果が一時的に落ち込んでも、それが設定ミスなのか学習再始動による一時的な揺らぎなのかは、数日では判断できません。
設定変更の手順と変更後7〜14日の検証ポイント
図2: 変更後14日間の検証タイムライン
変更は「Google広告」の管理画面から「目標」→「コンバージョン」→対象アクションの詳細設定を開き、「メインのコンバージョンアクションに含める」のトグルを切り替えるだけの操作です。操作自体はシンプルですが、影響範囲の見立てが本質です。
変更後は次のような順序で観察するのが実務的です。まず1〜3日目は学習ステータスの表示(学習中/学習済み)を確認し、極端なインプレッション減少がないかを見ます。4〜7日目にかけてCPAやROASの変動幅を記録し、7〜14日を経過した時点で、変更前の期間と比較可能な形になっているかを判断します。この期間中に別の変更(入札戦略の切り替えや予算変更)を重ねると、何が効果に影響したのか切り分けられなくなるため、変更は一つずつ、間隔を空けて実施するのが基本です。シグナル設計が整った後の次の意思決定として、目標CPA・目標ROASの使い分け判断フローも参考になります。
よくある質問
Q:メインからサブに変更するとスマート入札の学習はリセットされますか? 入札に使うコンバージョン定義そのものの変更にあたるため、学習期間が再始動します。変更直後の7〜14日は成果評価を保留し、この期間中に別の変更を重ねないことをおすすめします。
Q:「コンバージョン」列と「すべてのコンバージョン」列は何が違いますか? 「コンバージョン」列はメインのコンバージョンアクションのみを集計し、入札の学習に使われる数値です。「すべてのコンバージョン」列はサブも含めた全アクションを合算した観測用の数値で、入札の最適化には直接使われません。
Q:メインのコンバージョンアクションは複数設定してもよいですか? 複数設定すること自体は可能です。ただし価値の異なるコンバージョンを等価に混ぜると学習が濁りやすくなるため、コンバージョン値の設定で重み付けをするか、キャンペーン単位のカスタム目標で分離する方針を検討するのが安全です。
Q:CV数が少ない場合はマイクロコンバージョンを「含める」べきですか? 月間コンバージョン数が学習に不足している場合の限定的な手段として有効です。本来のコンバージョンに最も近い中間行動だけを、期間を区切ってメインに含め、本来のCVが十分に増えてきた段階で外すのが定石です。
Q:GA4のキーイベントをインポートしたのにコンバージョン列に入らないのはなぜですか? インポート直後はサブとして着地する仕様のためです。管理画面で対象アクションを手動でメインに変更し、あわせて関連キャンペーンの入札戦略の目標設定に反映されているかも確認してください。
真策堂では、こうしたコンバージョン設計とスマート入札の学習状況を切り分けて診断する観点からのご相談を承っています。自アカウントのコンバージョンアクション構成に確信が持てない場合は、一度棚卸しの機会として検討してみてください。
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