真策堂
· ニュース

Google広告のAsset StudioにGemini Omni、ブランドに沿った動画広告を作成できる機能が登場

Google広告のAsset Studioで、Gemini Omniを使い画像やブランド資料から動画広告を作れる機能の発表です。広告担当者や、動画CRの制作を外部に任せている事業者に関係します。

本記事はGoogle公式発表にもとづく、2026年9月29日時点の情報です。仕様は変更されることがあるため、実際の運用前に公式ヘルプの最新情報をご確認ください。

この記事のポイント

  • GoogleがGoogle広告の制作ツール「Asset Studio」にGemini Omniを組み込み、動画広告を作れるようにしました。
  • URLや商品写真、ブランドの決まりごとを読み込ませ、ブランドに沿った動画を作る使い方が想定されています。
  • 公式によると無料で、全世界に順次提供されており、Demand Genなどのキャンペーンから使えます。
  • 出来栄えは入力する素材と指示の具体性に左右されるため、事前に素材とルールを整理しておくと安心です。

何が変わったのか

Googleは、Google広告の中にある制作ツール「Asset Studio」で、Gemini Omniを使った動画広告の作成ができるようになったと発表しました。公式の記事は「Creative Drop #1」と題されており、CR(広告の画像や動画などの制作物)に関する連載の第1回という位置づけです。

公式によると、Gemini Omniは文章の指示だけに頼りません。広告主が入れたURL、マーケティングの狙いをまとめた資料、商品写真、動画の素材などを読み取って動画を作ります。これまでは、文章、画像、動画をそれぞれ別の作業として進めることが多くありました。今回はそれらをひとつの流れで作れるようにした、という説明です。

提供については、無料の機能として全世界に順次展開中と書かれています。記事の公開時点で「今日から」使える扱いです。対応言語の制限は記事では示されていません。一方、対象アカウントの条件や、地域ごとの提供時期の細かな違いは公式では明記されていません。また、公式ページに表示されていた日付は「2026年9月」という月の表記のみで、日にちまでは確認できませんでした。

そもそもAsset StudioとGemini Omniとは

Asset Studioは、Google広告の管理画面の中で広告の素材を作るための場所です。画像や動画を、別の制作ツールを使わずに広告アカウント内で用意できます。

Gemini Omniは、Googleの生成AI「Gemini」の仕組みを使った機能です。文章、画像、動画といった複数の種類の情報をまとめて理解し、新しい素材を作れる点が特徴とされています。

もう一つ、Demand Gen(Google広告の、YouTubeやGoogle系のサービス上で商品を知ってもらうために配信する広告のキャンペーン)が、この機能の使える場所として挙げられています。ここで作った動画は、YouTubeチャンネルへ上げることも、ダウンロードすることもできます。

公式は、この機能がYouTubeの「ABCDフレームワーク」を土台にしているとも説明しています。ABCDは、視聴者に最後まで見てもらいやすい動画の作り方をまとめた、YouTube公式の考え方です。

広告運用の現場にどう影響するか

公式の手順は次のとおりです。まず使う画像と、縦(9:16)、横(16:9)、正方形(1:1)といった縦横の比率を選びます。次に、雰囲気、テーマ、商品、ブランドの特徴を文章で伝えます。すると3つの構成案が示され、そのうち1つを選びます。その後は、ストーリーボード(場面ごとに区切った絵コンテのような画面)で一場面ずつ手直しできます。

この流れなら、動画制作の経験が少なくても案を形にしやすくなると考えられます。特に、動画CRを作る余裕がなかったアカウントでは、素材の種類を増やす選択肢が増える可能性があります。無料であることも、試しやすさにつながると思われます。

ただし、公式が推奨する使い方を見ると、誰が使っても同じ品質になるわけではなさそうです。公式は、商品を別の角度から撮った写真を4〜5枚入れること、フォントや色コード、ロゴの扱いといったブランドの決まりごとを渡すこと、曖昧な指示ではなく具体的な方向性を書くことを勧めています。PDFを1つ渡すだけでなく、複数の形式の資料を使うことも勧められています。つまり、入力する素材と指示の質が、仕上がりを左右する設計だと読み取れます。

なお、この機能で広告の成果がどう変わるかについて、公式は数字を示していません。実際の効果は、自社のアカウントで確かめる必要があります。

いま確認しておきたいこと

まず、Google広告の管理画面でAsset Studioが表示されるかを確認しておくと安心です。全世界に順次提供中とされているため、アカウントによっては使えるようになる時期に差がある可能性があります。

次に、商品写真を複数の角度から用意できるか確認します。公式が挙げる4〜5枚を目安に、社内や制作会社の手元に使える写真があるかを調べておくとよいでしょう。

三つ目は、ブランドの決まりごとを文書にまとめることです。フォント、色コード、ロゴを置いてよい場所や避ける場所などが、ひとつの資料で渡せる状態だと使いやすくなります。

四つ目は、動画の使い道を決めておくことです。縦、横、正方形のどの比率が必要かは、配信先によって変わります。Demand Genで使うのか、YouTubeチャンネルに載せるのかを先に整理しておくと、作る素材を絞れます。

最後に、代理店や制作会社に運用を任せている場合は、この機能を使う予定があるかを聞いてみることをお勧めします。AIで作った動画を広告に使う際の確認の流れ(社内の承認や、内容のチェックの手順)も、あわせて決めておくと安心です。

出典

指示文と素材の渡し方を具体的にする

公式は「曖昧な指示ではなく具体的な方向性を」と勧めていますが、何をどこまで書けば具体的なのかは示されていません。ここは自社で詰める部分になると思います。

整理しやすいのは、指示文を次の要素に分けて書く方法かなと思います。

  • 誰に向けた動画か:年代や立場よりも「どんな悩みを持っている人か」を書く
  • 伝えたいことは1つだけ:価格、使いやすさ、デザインなど、訴求を欲張らずに1つに絞る
  • 雰囲気を言葉で決める:「明るく」だけでなく「朝の自然光のような明るさ」「落ち着いた高級感」のように、場面が浮かぶ表現にする
  • 入れてほしくないもの:使わない色、避けたい表現、映してほしくない使い方を書く

とくに最後の「入れてほしくないもの」は抜けやすいと思います。生成AIは、指示がない部分を一般的なイメージで埋めがちです。ブランドとして避けたい表現があるなら、最初から書いておく方が手直しの手間を減らせそうです。

素材は、写真の枚数をそろえるだけでなく「背景が整理されているか」「商品の色が実物に近いか」も見ておきたいところです。入力した写真の色味がずれていると、その色のまま動画に反映される可能性があります。ブランドの決まりごとも、PDFを1つ渡すだけで済ませず、ロゴの画像ファイルや色コードの一覧を別で用意しておくと、公式が勧める「複数形式の資料」にも沿いやすいと思います。

公開前に見ておきたいチェック項目

AIで作った動画は、見た目が整っていても細部に違和感が残ることがあります。ストーリーボードで一場面ずつ直せる仕組みがある以上、公開前の確認作業は省かない方がいいかなと思います。見ておきたい観点は次のとおりです。

  • 商品の再現:形、色、パッケージの文字が実物と違っていないか。別の角度から見た場面で形が崩れていないか
  • ロゴと文字:ロゴがゆがんでいないか、決まりごとで避けている場所に置かれていないか。画面上の文字に誤字や意味の通らない表現がないか
  • 表現の適法性:効果や効能を言い切る表現、比較の表現が入っていないか。業種によっては法律や業界ルールの確認が必要になる
  • 比率ごとの見え方:縦長の動画では、画面の上下に再生ボタンや説明文が重なることがある。大事な文字や商品が隠れていないかを、実際の画面サイズに近い状態で見る
  • 音の有無:音を出さずに見る人も多い前提で、音なしでも内容が伝わるか

確認する人が毎回変わると基準がぶれやすいので、この項目を社内の承認フローに入れておくと、担当者が変わっても同じ目線で見られると思います。

既存の動画CRとどう比べるか

作った動画が「使えるかどうか」は、管理画面の見た目だけでは判断しにくいところです。公式は成果の数字を示していないので、自社のアカウントで比べることになります。

比べ方としては、既存の動画CRを止めて差し替えるより、同じキャンペーンの中で並べて配信する方が、何が効いたのかを切り分けやすいかなと思います。そのとき、一度に変える要素はできるだけ少なくする方がいいです。訴求、比率、雰囲気を全部変えた動画を並べると、良くても悪くても理由がわかりません。

判断するのは、配信量がある程度たまってからが無難だと思います。配信を始めた直後は数字が安定しないことが多く、早めに止めると、良い案を捨ててしまう可能性があります。どこまで待つかはアカウントの規模や予算で変わるので、事前に「この期間、この程度の表示回数がたまったら判断する」と決めておくと、感覚での判断を避けやすいかなと。

また、AIで作った動画が既存の動画CRに負けたとしても、それで終わりにする必要はないと思います。冒頭の場面だけ既存の動画CRに寄せる、訴求を変えて作り直すなど、生成し直しやすいのがこの機能の強みです。1本ずつの勝ち負けより、何を変えたら数字が動いたかを記録していく使い方の方が向いていそうです。

Contact

広告運用・マーケティングのご相談はこちらから
お問い合わせフォーム・公式LINEのどちらでもOK