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コンバージョン単価とtCPAとは?目標値の決め方とシミュレーション

コンバージョン単価(CPA)の計算方法と、Google広告の目標コンバージョン単価(tCPA)の意味を整理しました。目標値を「払える上限」から決める手順、予算と件数の簡単なシミュレーション、管理画面での設定方法と設定後の見方までまとめています。

「コンバージョン単価」と「目標コンバージョン単価(tCPA)」は名前がよく似ていますが、指しているものが違います。

  • コンバージョン単価(CPA):実際にかかった広告費 ÷ コンバージョン数で出る実績の数字
  • 目標コンバージョン単価(tCPA):「このくらいの単価で獲りたい」とGoogle広告に伝える目標値

この記事では、まずこの2つの違いを整理してから、目標値をいくらにするか、予算と件数をどうシミュレーションするか、管理画面でどう設定するか、設定した後にどこを見るか、の順で書いていきます。

コンバージョン単価(CPA)とは

コンバージョン単価は、1件のコンバージョンを獲るのにいくらかかったかを表す数字です。英語だと「Cost Per Acquisition(またはCost Per Action)」で、略してCPAと呼ばれます。

計算式はシンプルで、次のとおりです。

コンバージョン単価 = 広告費 ÷ コンバージョン数

例えば10万円使って20件獲れたら、コンバージョン単価は5,000円になります(仮の数字です)。

ここでいう「コンバージョン」は、問い合わせ・資料請求・購入・会員登録など、広告の成果として計測しているアクションのことです。何をコンバージョンにしているかで単価の水準は大きく変わるので、他のキャンペーンや他社の数字と比べるときは、同じアクション同士で比べているかを先に確認しておくのが良いかなと思います。

また、Google広告の管理画面に出る「コンバージョン単価」は、入札に使うメインのコンバージョンアクションだけで計算されています。サブのアクションまで含めて自分で計算した単価と比べると、ずれて見えることがあります。

目標コンバージョン単価(tCPA)とは

tCPAは「Target CPA」の略で、日本語の管理画面では「目標コンバージョン単価」と表示されます。

入札戦略「コンバージョン数の最大化」を使っているときに、オプションとして目標値を入れておくと、Googleがその単価に近づくように入札を調整しながらコンバージョンを獲りにいきます。

押さえておきたいのは次の2点かなと思います。

  • tCPAは「平均」の目標:1件ごとの上限ではありません。目標より高く獲れる件もあれば、安く獲れる件もあって、それを均して目標に近づけようとする仕組みです。なので1件だけ高かったとしても、それ自体は異常ではないと思います
  • 集計の対象は入札に使うコンバージョンだけ:管理画面の「コンバージョン」列に入るアクション(メインのコンバージョンアクション)が基準になります

以前は「目標コンバージョン単価」という独立した入札戦略がありましたが、今は「コンバージョン数の最大化」の中のオプションとして設定する形になっています。古い解説記事を読むときは、表記が違うことがある点に注意しておくと良いかなと思います。

目標値を入れない場合との違い

目標値を入れずに「コンバージョン数の最大化」だけで動かすと、Googleは日別予算の範囲内でとにかく件数を最大化しにいきます。

このとき、クリック単価が高いキーワードでも「コンバージョンが取れそう」と判断されれば入札されるので、1日の前半で予算を使い切ってしまい、後半に配信できなくなることがあります。その結果、日によってコンバージョン数が大きくぶれる、ということも起きやすいです。

目標値を入れると、単価が目標から大きく外れそうな入札が抑えられるので、次のような変化が期待できます。

  • 日内の予算消化が安定し、1日の後半に予算切れを起こしにくくなる
  • 1日の終わりまで配信が続くので、コンバージョンの機会を逃しにくくなり、日別の件数が安定しやすくなる
  • 極端な予算消化が減ることで、単価の安く済みそうな検索やユーザーにも配信が回り、期間で見た平均単価が抑えられることがある

どれも「傾向として期待できる」という話で、必ずそうなるわけではない点は注意しておきたいところです。

目標値の決め方:「払える上限」と「実績」の2つから考える

tCPAをいくらにするかは、ビジネス側の数字と、広告の実績の数字の両方から考えると決めやすいと思います。

① 1件にいくらまで払えるかを出す

まずはビジネス側から見て「1件のコンバージョンにいくらまで払えるか」を押さえておきます。考え方の一例は次のとおりです。

  1. 1件の成約で得られる粗利を出す(売上ではなく、原価などを引いた利益)
  2. コンバージョンから成約に至る割合を考える(問い合わせや資料請求がコンバージョンの場合)
  3. 粗利 × 成約率 = 1コンバージョンに払える上限の目安になる

例えば、粗利が5万円で、問い合わせのうち2割が成約するなら、1件の問い合わせに払える上限は1万円くらいになります(仮の数字です)。リピート購入が見込める商材なら、初回の粗利ではなくLTV(顧客生涯価値)で考える場合もあります。

② 実績の平均コンバージョン単価を見る

次に、目標値を入れずに配信していた期間の平均コンバージョン単価を確認します。

設定するときは、実績の平均コンバージョン単価ピッタリではなく、少し高めにしておく方が無難です。ピッタリにすると入札が控えめになりすぎて、配信されにくくなることがあるためです。この記事では、実績の平均に1.3を掛けたぐらいの値をスタートの目安としています。そこから様子を見ながら調整していく流れです。

③ 2つを並べて判断する

上限と実績を並べると、取るべき動きが見えやすくなります。

  • 実績 ×1.3 が上限より下に収まる:その値でtCPAを設定して、様子を見ながら調整していく形で問題なさそうです
  • 実績 ×1.3 が上限を超える:目標値で無理に抑え込むと配信が止まりやすいです。キーワードやCR、LPなど入札以外のところを見直す方が先かなと思います

目標コンバージョン単価のシミュレーション

目標値を決めたら、「その単価だと予算に対して何件くらい獲れそうか」「狙いの件数にはいくら必要か」を一度シミュレーションしておくと、関係者との認識合わせもしやすくなると思います。

手計算でざっくり見積もる

一番簡単なのは、コンバージョン単価の計算式を逆に使う方法です。

  • 獲得件数の目安 = 予算 ÷ 目標コンバージョン単価
  • 必要な予算の目安 = 目標件数 × 目標コンバージョン単価

例えば月の予算が30万円で目標単価が5,000円なら、獲得件数の目安は60件です。逆に月100件ほしいなら、必要な予算の目安は50万円になります(どちらも仮の数字です)。

いくつかのパターンを並べておくと比較しやすいです。

月予算目標単価獲得件数の目安
30万円4,000円75件
30万円5,000円60件
30万円6,000円50件

(表の数字はすべて計算例です)

注意点として、これはあくまで「予算を使い切って、平均単価が目標どおりに収まった場合」の計算です。実際には、目標単価を下げると入札が控えめになって予算を使い切れないこともあるので、件数はこの計算より少なくなる可能性があります。単価と件数は基本的にトレードオフの関係にある、と考えておくと良いかなと思います。

管理画面の入札単価シミュレーションで確認する

実際の配信データをもとにした見通しは、Google広告の管理画面にある入札単価シミュレーションで確認できます。

キャンペーンの一覧で、入札戦略の列に表示されるシミュレーションのアイコンから開けます。目標値をいくつかのパターンで変えた場合の、費用やコンバージョン数の推定値が並んで表示されます。

見るときのポイントは以下かなと思います。

  • 目標値を下げたとき、コンバージョン数がどの程度減りそうか
  • 目標値を上げたとき、費用の増え方に対してコンバージョン数が見合っているか
  • 先ほど出した「払える上限」の範囲内で、件数が一番多くなりそうなのはどこか

シミュレーションは過去のオークションのデータをもとにした推定で、結果を約束するものではありません。競合の出稿状況や季節性は反映しきれないので、あくまで目安として使うのが良いと思います。

また、配信データが少ないキャンペーンや、設定を変更した直後のキャンペーンでは、シミュレーション自体が表示されないことがあります。その場合はしばらく配信を続けてデータを溜めてから確認することになります。

管理画面での設定手順

キャンペーン単位で設定する場合のおおまかな流れです。管理画面の表記は変わることがあるので、実際の画面に合わせて読み替えてください。

  1. 対象のキャンペーンを開き、「設定」に進む
  2. 「単価設定」の項目で、入札戦略が「コンバージョン数の最大化」になっているか確認する
  3. 「目標コンバージョン単価を設定する(省略可)」にチェックを入れる
  4. 目標値を入力して保存する

複数のキャンペーンをまとめて同じ目標で動かしたい場合は、「共有ライブラリ」の「入札戦略」からポートフォリオ入札戦略として作り、各キャンペーンに割り当てる方法もあります。キャンペーンごとにコンバージョン数が少ない場合に、まとめることで学習に使えるデータを増やせる可能性があります。

また、広告グループ単位で目標値を上書きすることもできます。ただ、細かく分けるほど1つあたりのデータが少なくなるので、まずはキャンペーン単位で設定して、必要になったら分ける方が扱いやすいかなと思います。

設定する前に気をつけたいこと

ある程度コンバージョンが溜まってから設定する

tCPAは、ある程度コンバージョンを獲得できた段階で設定するのが良いと思います。この記事では、コンバージョン数が10〜20件以上ある状態を一つの目安にしています。少なくとも、コンバージョン数0の段階での設定はおすすめしません。

全くコンバージョンが発生していない状態だと、そもそもいくらでコンバージョンを獲得できるかGoogleが判断しにくく、結果として広告が配信されにくくなることがあるためです。

まずは目標単価を設定せず「コンバージョン数の最大化」でキャンペーンをスタートし、コンバージョンが溜まって実績の単価が見えてきたところで目標単価を設定する、という順番が扱いやすいかなと思います。

設定直後は数字が落ちることがある

目標値を設定すると学習期間に入り、しばらくはコンバージョンが獲れにくくなることがあります。

順調に獲れていたコンバージョンが急に減るとかなり不安になりますが、ここで慌てて設定を戻すと、また学習がやり直しになってしまいます。ある程度は「そういうもの」と割り切って様子を見る方が良いと思います。

設定後の推移の例

tCPA設定後のコンバージョン推移の流れ 図1: tCPA設定後のコンバージョン推移の流れ

とある商材で、コンバージョン数の最大化に目標コンバージョン単価を設定したときの推移の例です。あくまで1つのケースなので、どのアカウントでも同じ動きになるわけではない点はご了承ください。

STEP

目標コンバージョン単価設定前

1ヶ月のコンバージョン数をグラフにしたものですが、日別でコンバージョン数に乱れがあります。

tCPA設定前

STEP

目標コンバージョン単価設定直後

設定直後の2〜3日は、下のグラフのようにコンバージョン数がガクッと落ちました。 学習期間に入っていると考えて、ここでは設定を戻さずに待っています。

tCPA設定直後

STEP

目標コンバージョン単価設定から1週間

学習期間を終えたのか、コンバージョン数が伸び始めています。

tCPA設定から一週間

STEP

目標コンバージョン単価設定から4週間

設定前よりも日別のコンバージョン数のバラツキが少なくなっています。 たまにガクッと落ちる局面もありますが、概ね安定しています。 このケースでは、平均コンバージョン単価も設定前より設定後の方が抑えられていました。

tCPA設定から4週間

実績が目標から外れたときの見方

tCPAを設定しても、実績のコンバージョン単価が目標どおりに収まるとは限りません。外れ方によって見るところが変わるので、パターン別に整理します。

実績が目標を大きく上回る

まず疑いたいのは、見ている期間が短すぎないかです。日別で見ると単価はかなりぶれるので、ある程度まとまった期間で判断した方が良いと思います。

次にコンバージョンの計上の遅れです。クリックしてから数日後にコンバージョンする商材だと、直近の数日は件数が少なく出て、単価が高く見えがちです。少し時間が経つと件数が後から増えて、単価が落ち着くこともあります。

それでも高止まりするなら、検索語句に関係の薄い語句が混ざっていないか、LPやCRの反応が落ちていないかなど、入札以外のところも確認しておきたいところです。

実績が目標をかなり下回るが、件数が少ない

単価は安いのに件数が伸びない場合、目標値が低すぎて入札が控えめになっている可能性があります。費用が日予算まで届いていないなら、その傾向が強いかもしれません。

このケースでは、目標値を少し上げると件数が増える余地があります。入札単価シミュレーションで、上げたときの件数の増え方を確認してから動かすと安心かなと思います。

予算が足りずに配信が絞られている

ステータスに「予算による制限」と出ている場合、目標値より先に予算が上限になっています。この状態で目標値を下げても、狙いどおりに動かないことがあります。予算を上げるか、目標値とのバランスを見直すか、どちらで調整するかを先に決めると判断しやすいと思います。

目標値を変えるときの注意

目標値を変更すると、入札が新しい目標に合わせて調整されるので、また数日は数字が揺れやすくなります。大きく変えるほど揺れも大きくなりやすいので、少しずつ変えて、変えたあとはしばらく様子を見るのが無難かなと思います。

また、目標値の変更と同時に、キーワードの追加やLPの差し替えなど別の変更を入れてしまうと、何が効いたのか分からなくなります。変更は1つずつ入れて、それぞれの影響を見られるようにしておくと、次の判断がしやすくなると思います。

もう1つ、商材によって1件あたりの価値が大きく違う場合(高額プランと低額プランがあるなど)は、件数を揃えるtCPAより、売上を基準にする「目標広告費用対効果(tROAS)」の方が合うこともあります。コンバージョン値をきちんと計測できているかどうかで、選び方が変わってくるかなと思います。

まとめ

  • コンバージョン単価(CPA)は「広告費 ÷ コンバージョン数」で出る実績の数字
  • 目標コンバージョン単価(tCPA)は、Googleに「この単価で獲りたい」と伝える平均の目標値
  • 目標値は「1件に払える上限」と「実績の平均単価」の両方から決めると判断しやすい
  • 「予算 ÷ 目標単価」で件数の目安、「目標件数 × 目標単価」で必要予算の目安が出せる。管理画面の入札単価シミュレーションと合わせて見ると精度が上がる
  • 設定直後は数字が落ちることがあるので、すぐに戻さず様子を見る

コンバージョン数の最大化だけで長く運用していて、日別の件数がぶれる、予算が早い時間に尽きる、といった状況なら、tCPAの設定を検討してみる価値はあるかなと思います。

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